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2009年06月14日

グラン・トリノ

先週一人で観てきました。

映画の内容は、いろいろ書かれていますので、ここでは割愛致します。

クリント・イーストウッド演じる主人公は、今迄のどの映画も立ち位置が
同じで、同じ匂いがします。(初期のローハイドの時はさすがに若造と
いう感じで少し違いますが)。

一匹狼、アウトロー、目には目をで権力には反抗的。口は悪く、唾を吐き
捨て、銃をぶっ放す。しかし強い正義感、信念があり、それらを実行する
力もある。

ファンはいつも心に思っていてもなかなか出来ないことを、イーストウッド
が代弁、実行してくれるので、スカッとするわけです。 そして、ボスの
ように崇拝し、男としての格好良さを教わったわけです。

「グラン・トリノ」の彼は、そんな今まで演じたヒーローが年をとったらこう
なるだろうとのファンの期待通りの頑固じじい。嬉しいほどクソじじいだ。

ただ一つ違うのは、悪に立ち向かった最後の、結末。

78歳のイーストウッド、 78歳の、ダーティーハリーをはじめ今迄のヒーロー
達が人をたくさん殺してきた懺悔のような、そして年をとり、若い世代への
愛情が強く感じられる、そんな結末。

つまりは、悪に向かって、銃を持たず、丸腰のまま打たれて死ぬのです。

エンドロールで流れるイーストウッドのしゃがれ声の歌を聴きながら、私は
ただ、ひたすら悲しかった。 この映画の結末も悲しかったのですが、この
結末はイーストウッドの演じた今迄の主人公たちの死でもあったからです。
だから無性に悲しかったのです。10代前半から崇拝していた私のヒーロー
がこれで永遠に死んでしまったのです。

イーストウッドは今までの役をこれで完結させたのだな、と感じました。
そう言う意味では「許されざる者」より、強いインパクトがありました。

たかが映画と笑うこと無かれ、私にとっては、身近な人が死んだ悲しみに
近いくらい、他人に話すのが恥ずかしいくらい、それほど、悲しい気持ちで
した。

さようなら、ウォルト・コワルスキー(グラン・トリノ)
さようなら、ハリー・キャラハン(ダーティー・ハリー)
さようなら、イーストウッドの演じた孤高のヒーローたち。

投稿者 tamagawa : 2009年06月14日 23:17